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2011.07.23 (Sat)

一周年記念スペシャル

一周年記念スペシャル

「ミント日和」一周年を記念して、夕鈴目線で小説を作ってみました!
ここまで来れたのも応援してくださる皆さまのおかげです。

ではどうぞ。














「陛下!ミント日和が一周年を迎えるらしいですよ!」

「へぇ…それはめでたいね」

「小説を更新してもう一年も経つんですね。なんだかいろいろと懐かしいです」

夕鈴は、瞳を輝かしながら陛下と過ごした一年を振り返る。
楽しい思い出が多かったが、なかには苦しいことも悲しいことも、今では忘れてしまいたい恥ずかしいこともあった。回想する夕鈴の脳裏にいろいろな場面が浮かび上がり、ほぅっとため息をついた。


「夕鈴。なんだか切ない顔してるね。何を思い出していたの?」

にこにこ顔を浮かべて、子犬の彼が尋ねた。


「初めて後宮に来た日のことを思い出してたんですよ」

「初めて後宮に来た日?」

「はい。バイト初日です」

割のいいバイトに惹かれてろくに確かめもせずに二つ返事で引き受けた仕事。何を見せられてもさほど驚かない度胸には自信があったが、さすがに狼陛下を目の前にしたときは緊張した。

在りし日の、後宮の一室で狼陛下と初対面をした情景が蘇る。


「夕鈴?バイト初日でなんで切ない顔なの?」

なんとなく気に入らない態度を見せながら、子犬陛下が憮然と言い放った。


「別に切ないわけではありませんが…あのときはまだ陛下の演技を知らなかったので、世間で噂される冷酷非情な狼陛下に逢って怖かったのですよ」

夕鈴の発言にあからさまに不満な表情を浮かべ、陛下が押し黙った。急に変貌した雰囲気にいち早く気付いた夕鈴は、慌てて頭を振る。


「そんな顔なさらないでください。初対面で緊張してただけですよ」

「今怖かったって…」

しょんぼり…と耳を畳んで、陛下が呟いた。


「あのときはですよ!あのとき怖かっただけです」

「今は怖くない…?」

「もちろ…」

目にも止まらぬ速さで伸びてきた陛下の腕に抱きかかえられ、夕鈴は口を閉ざした。


「良かった、夕鈴。今も怖いって言われちゃったらどうしようかと思っちゃった」

耳近くで流れる陛下の低い声音に、夕鈴の背筋がぞくりと震えた。
狼陛下の臨時花嫁を始めてもう1年が経過するが、今だに“こういうこと”には慣れていない。こういうときの最善の対処法をいまだ見い出せていない夕鈴。無駄だと分かっていながらもごぞごぞと抵抗してみたが、力強い腕が解かれることはなかった。


「へ、陛下。離してください!」

「僕のこと、怖くないんじゃないの?」

「怖くないですよ」

「じゃあもう少しいいよね?」

「は?」

何がいいのか…夕鈴は不可解な発言を無視し、拘束から逃れようと必死で身をよじった。


「夕鈴」

低い声でゆっくりと自分の名を呼ばれて、夕鈴の鼓動が跳ねた。声に威圧されてしまったのか、抵抗する力が出なかった。結局なすがまま、なされるがまま、陛下の腕の中大人しく佇むことになる。

なかば諦めた様子で、夕鈴が深くため息をついた。


「夕鈴、何か疲れてる?」

疲れさせてるのはどこの誰か。内心の不満を口に出すことなく、夕鈴は頭を振った。
陛下は嬉しそうに笑うと、抱きしめる腕にいっそう力を入れた。


「夕鈴を抱きしめるのって久しぶり。最近、こういう場面が少なかったからなぁ…」

抗議しようかと思ったぐらいだ…などと、さらりと衝撃発言をする陛下に対し、夕鈴は弾かれたように声を上げた。


「っな!……何言ってるんですか!恥ずかしい!」

「何で?日頃の不満を今、ぶつけてるだけだよ」

「一周年の記念すべきときに、そんなこと言わないでくださいよ」

夕鈴は耐えきれなくなって顔を上げた。
最近の夕鈴は、陛下の顔を見てしまうと余計動揺して上手く声が出せなくなることが多かったため、あえて見まいとしていたが、陛下の傍若無人な態度に抗議せずにはいられなかった。


「何怒ってるの…?やっぱり僕のこと、まだ怖いのかなぁ…」

肩をうなだれて心からショックを受けている様子の子犬陛下に、夕鈴の怒りは音もなく消え去っていく。子犬陛下が見せる子犬な態度にはとことん弱い夕鈴。生まれ持った性格のせいか…落ち込む人を見るといたたまれなくなってしまい、ついつい慰めてしまうのだ。

この日も案の定、落ち込む陛下に対し、夕鈴は必死に慰めの言葉をかける。


「怖くなんてないですよ。だって陛下の優しいところ、私は知ってますから。そりゃあ、狼陛下の演技のときはちょっと怖いと思いますけど、強い王様を演じている陛下を尊敬していますし…それに」

懸命に褒め言葉を探す夕鈴の頭上で、小さな笑い声が響いた。


「陛下?」

「う~ん。 やっぱり、夕鈴はいいなぁ。僕、もう手放せないや」

うんうんとひとりでに納得して、陛下が嬉しそうに頷いた。夕鈴の手を取ると、ごくごく自然な動作で手の甲に口づけする。


「口づけも久しぶり」

「!?」

どこが久しぶりなのよ!ことあるごとに、しょっちゅう、隙あらばセクハラしてるじゃない!メラメラと燃える怒りは爆発寸前。もはや子犬陛下の力も持ってしても止めることは不可能であった。

夕鈴は火事場の馬鹿力を発揮し、陛下の体を突っぱねると、今度は手の平を思い切り振り上げて、陛下の腕を叩いた。ぱしん…と空を切るように乾いた音が響く。


「痛いよ…夕鈴」

「陛下のバカ!!」

甲高い叫び声が陛下の耳をつんざいた。
涙目で睨み上げる夕鈴をどうにか鎮めようと、陛下が慌てていいわけを並べる。


「ご、ごめん。せっかくの一周年だし…今後の展望のためにも甘い演技が必要かなって」

「……展望」

「そう。これからもっと夕鈴と仲良く(いちゃいちゃ)したいから、君との距離をもっと縮めたいから…」

「……」

「君のことが好きだから…」

どさくさに紛れて告白する陛下。だが怒りの沸点を超えた夕鈴には、陛下の告白は聞こえなかった。


「夕鈴、聞いてる?」


「……」

「夕鈴、ちゃんと聞いて。僕は、君のことが…」

「陛下!この際なのではっきりと言いたいことがあります」

夕鈴の真剣な瞳を受け、陛下が背筋を伸ばして向き直った。


「な、何…?」

「常々思ってたことですが。最近の陛下の夫婦演技は度が過ぎていると思います。私はあくまでも臨時花嫁、本物のお妃ではないのです。その点をもう一度考慮して、健全なバイト生活を…」

夕鈴の言葉を遮って、陛下が頬に触れて来た。突如現れた端正な顔立ちに、夕鈴の静まった鼓動が再度波打つ。陛下は口元に冷笑を浮かべると、固まる夕鈴の体を引き寄せた。

せっかく引き離したのに…悔し涙を浮かべるも、陛下の黒い眼に射すくめられ身動き出来ない。


「はっきり言いたいことって…何かと思ったらそんなこと?」

「そんなことってどういう意味ですか?私は真剣に言ってます」

「僕だって真剣に言ったのに、君は聞いてない」

「は?私は聞いてますよ。聞いてないのは陛下の方です」

「君の方だよ」

陛下は夕鈴のほっぺたを軽くつねる。小さな痛みに顔をしかめた夕鈴を見て、陛下がにやりと笑った。
落ち込んだ子犬はもはや見る影なし、いつもの間にか登場した意地悪狼が夕鈴の目の前に居た。


「せっかくの一周年なのに喧嘩するのは良くない」

「け、喧嘩を売っへるのは…ど、どっひでしゅ…か??」

両頬をつねられてもごもごと夕鈴が言った。


「い、いひゃいです。離してくだひゃい」

「可愛いなぁ。君は見ていて飽きない。君が僕の花嫁で良かったよ」

そう思うなら離してよ!心の中で声高く訴える夕鈴。
しばらくほっぺたをつねっていた陛下だったが、満足したのか手を離すと、今度は夕鈴の長い髪を引っ張った。


「いた、痛いですって、なんでそんな意地悪するんですか?」

「僕の痛みに比べればこんなの…」

ぶつぶつぶつ…陛下が小言を呟く。

陛下の痛み?まったく意味が分からないわ。
ぽかんと口を開けて押し黙る夕鈴を見て、陛下は肩をすくめた。


「これからの一年で、君は気づくのかな?」

僕がどれだけ君を想ってるかってこと。声には出さずに、陛下は微笑みを浮かべた。


「陛下こそ」

いい加減、気づいて欲しい。
甘い演技は苦手だってこと。
最近は特に、陛下の顔を見てるとドキドキが止まらなくなるってこと。

不可抗力で高鳴りだす鼓動に、これ以上悩まされたくはない。


「僕はとっくに気づいてるよ」

「気づいてません」

「気づいてるってば」

「そんなの嘘です」

「……」

「……」

ふたりは同時にため息を吐いた。深く、ゆっくりと…。


「これからの一年、僕はもっと君の気持ちを理解できるように努力しよう」

「じゃあ、過度な演技はお控えいただけますか?」

「ふたりきりの時は控える。でも人前ではがんばって寵妃を演じてもらうよ」

「……努力します」

「狼陛下の寵愛も、この際だから極めてみようと思うんだ。もちろん、協力してくれるよね」

「もちろんです。(雇われている以上)狼陛下の花嫁を演じます」

良かった、良かった…陛下は意地悪狼の仮面を脱ぎ捨てて、本来の姿である子犬の顔で満足そうに笑った。
陛下の無垢な笑顔にほっと息をつく夕鈴。


「私も、これからの一年、陛下の気持ちをもっと理解できるように努力します」

「うん!」

ふたりは顔を見合わせると、一緒に笑った。


後宮では今日も、仲良し夫婦の笑い声が響いていた。












一周年記念スペシャル完了です
気づけば一年、あっという間でした。いつもサイトに遊びに来てくださる皆さま、応援メッセージをくださる皆さま、ありがとうございました☆好きが高じて50作以上もアップできたのも、皆さまのおかげ。この場を借りて、感謝いたします
一周年記念はかなりのバカップルを書いてみました。バカップルに定番の痴話喧嘩&すぐに仲直り&どさくさにまぎれて告白…etc。馬鹿らしいので勝手にやってくれ…という終わり方でしたね、どうぞお許しください。
結局は、これからも陛下は夕鈴大好きで、夕鈴はそんな陛下に振り回されときには振り回し、そんな関係が続くばかりで、なかなか発展しないふたりの関係にミケはやきもきさせられるんだろうなぁ…と思ってます(笑)

さっさと恋人同士になったふたりが書きたいです。雑誌の展開に期待大ですね♪





00:01  |  スペシャル版(ご挨拶とミニ小説)  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

お久しぶりです!!
1周年おめでとうございます!!
1年間ご苦労様でした。
ミント日和は心のオアシス的存在なので、頑張って下さい。
私も、仕事が忙しくって、なかなかコメントできませんが、
毎日お邪魔させて頂いてます。
会社のパソコンからですが(--〆)
これからも、頑張って下さいね!!
あち |  2011.07.23(土) 21:51 | URL | 【編集】

●コメありがとうございます!

こんにちは、あちさま。お久しぶりです!
お祝いメッセージありがとうございます☆一年迎えることが出来て、とっても嬉しいです。これもひとえにあちさま始め皆さまのおかげです。感謝!!
お仕事、相変わらず激務みたいですね~大変ですが、こそっと遊びにいらしてください。会社のパソコンで(笑)
ミケも常にコメに癒されておりますよ~♪これからも頑張ろう!といつも励まされております。ありがとうございました。
ミケ |  2011.07.24(日) 18:50 | URL | 【編集】

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